ダイエットに筋トレは必要?意味ない?

ダイエットといえば、多くの人がウォーキングや食事制限を思い浮かべるかもしれません。

確かに、ウォーキングや食事制限で体重が減ることがあります。

しかし、年齢を重ねていくと、そのようなダイエットでは痩せないばかりか、継続することで痩せにくい体質になってしまうことも。

実は、ダイエット成功の鍵は筋トレ!

なぜなら、筋トレは体脂肪を効率的に減らす効果があるからです。

この記事を読めば、どれだけ筋トレがダイエットに有効であるかを理解することができます。

特に40歳を過ぎた人は、筋トレをするとしないとでは大違いですよ!

ダイエットに筋トレは必要ない?

ちょっと代謝の仕組みを知っている人は、「脂肪が燃えるのは筋トレより有酸素運動だよ」と言ってきます。

筋トレは必要ないのでしょうか?

有酸素運動と無酸素運動

比較的強度が低く、長時間続けられるような運動を有酸素運動と言います。

たとえば、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなど。

それに比べて強度が高く、長時間続けることが難しい運動を無酸素運動と言います。

たとえば、短距離走や中・高強度の筋トレなど。

筋トレは無駄?

ウォーキングなどの有酸素運動をしている時は脂肪が利用される比率が高く、逆に筋トレなどの無酸素運動をしている時は脂肪が利用される比率は少なくなります。

そのため、「ダイエットには有酸素運動が効果的で筋トレは無駄だ」と言われることがあります。

本当にそうでしょうか?

実は、これは誤り。

確かに体脂肪を減らすために有酸素運動は効果的です。

しかし、筋トレなどの無酸素運動に体脂肪を減らす効果がないのかというとそうではありません。

有酸素運動が運動中に脂肪を多く燃やすのに対し、筋トレは運動後に脂肪が燃えやすい状態をつくることが科学的に証明されているからです。

脂肪を燃やすために筋トレが必要

筋トレで脂肪が分解される

体に蓄積した脂肪はすぐに使うことができません。

蓄積した脂肪を使うためには分解しなければならないのですが、この時に脂肪分解ホルモンが必要になります。

その脂肪分解ホルモンを効率よく分泌させるのが筋トレなのです。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

脂肪はどこから落ちる?

ダイエットで多くの人が気になるのは、「どこから脂肪が落ちていくか?」「どこの脂肪が落ちにくいのか?」ではないでしょうか。 脂肪が落ちるメカニズムは少し複雑で、一…

筋トレで分泌される脂肪分解ホルモンの効果

筋トレ以外の運動で分泌される脂肪分解ホルモンの効果は、1時間程度でなくなると言われています。

一方、筋トレで分泌される脂肪分解ホルモンの効果は、筋トレの約1時間後から始まって6時間程度続くことが国内研究で報告されています。

さらに、海外の研究では約48時間も続くとする報告も。

つまり、筋トレをすると脂肪分解タイムが2日後まで続く可能性があるということです。

その間にいつも通り生活しているだけでも、脂肪燃焼効率が高まっているので効率よく痩せることができます。

有酸素運動と筋トレどちらが先?

有酸素運動と筋トレはどちらを先に行うのが正しいでしょうか?

「筋トレを先に行う」が正解!

筋トレで脂肪分解ホルモンを分泌させてから有酸素運動をした方が、効率よく脂肪を使うことができます。

逆に有酸素運動を先に行なってしまうと、脂肪分解ホルモンの分泌が抑えられてしまいます。

同じ努力をしても、運動の順番で効果が変わってしまうので注意しましょう。

筋トレで除脂肪体重をコントロール

筋トレで太りにくい体に

blue tape measuring on clear glass square weighing scale

ダイエットでは、筋肉などの除脂肪体重をできるだけ維持しながら(もしくは増やしながら)体脂肪を減らしていくことが重要です。

なぜなら、筋肉などの除脂肪体重が減ってしまうと基礎代謝量が少なくなり、リバウンドの原因になってしまうから。

筋肉などの除脂肪体重が多い人ほど基礎代謝量が多く、太りにくい体と言えます。

除脂肪体重とは?

体重における体脂肪以外の筋肉・骨・内臓などの重さのこと。

基礎代謝とは?

体温維持、心臓や呼吸など、人が生きていくために最低限必要なエネルギーのこと。

生きているだけで消費されるエネルギーで、1日に消費するエネルギーの約60%を占めています。

もし、有酸素運動と食事の改善だけでダイエットした場合、筋肉などの除脂肪体重は減っていきます。

また、有酸素運動を長期間続けていると、体は省エネモードのような状態になり、逆に体脂肪が減りにくくなってしまいます。

筋トレで基礎代謝量を維持する(または増やす)ことで、リバウンドを防いで太りにくい体を手に入れることができるのです。

筋トレで基礎代謝量はどれくらい増える?

もし筋トレで筋肉などの除脂肪体重を増やすことができたら、どれくらい基礎代謝量が増えるでしょうか?

筋肉(骨格筋)は1kgあたり13kcalを1日で消費します。

今、「たった13kcal?」と思いましたね。

そう考えるのはまだ早い!

筋肉(骨格筋)量が増える時は、同時に内臓(内臓も筋肉です)なども多少大きくなり、除脂肪体重が増えます。

また、筋トレによって体脂肪率が減ることで、体重あたりの基礎代謝率が増えて、より痩せやすい体に生まれ変わるのです。

国内の研究によると、除脂肪体重が2kg増えたら基礎代謝量が100kcal増えたという報告があります。

つまり、除脂肪体重が1kg増えると基礎代謝量は50kcal増える計算に!

たった50kcal?

今度は「それでも1日50kcalかー」って思いましたね。

除脂肪体重を1kg増やしても、1日たったの50kcalしか増えないと見くびってはいけません。

1日50kcal少ないだけでも1年で約2.5kg、5年で約12.5kgの体重増加になります。

気がつけば、ここ数年でこのくらい太ってしまったという人は、除脂肪体重を1kgだけ増やしていれば太ることはなかったかもしれません。

除脂肪体重を維持するだけでもメリットあり!

基礎代謝は10代をピークにして加齢とともに低くなっていきます。

20歳以降で見ると、40歳代から再び急激に低くなっていきます。

つまり、40歳を過ぎたあたりで、それまでと同じ食事をしているだけで太ってしまうということ。

筋トレで除脂肪体重を維持して基礎代謝をキープするだけでも、かなりメリットがあるのです。

筋トレで痩せやすい筋肉に変わる

遅筋と速筋

筋肉には「遅筋(ちきん)」と「速筋(そっきん)」の2つがあります。

「遅筋」は持久力に優れていて、歩いたり、姿勢を維持したり、日常生活のほとんどは「遅筋」が使われます。

「速筋」は、いざという時の動作に使われて持久力はありません。

普段はあまり使われずにサボっていますが、走ったり、重いものを持ったりする時に使われます。 

この特徴の違いから、普段使っている「遅筋」は衰えにくいのですが、「速筋」はあまり使われないので衰えやすい。

そうして「速筋」が衰えると基礎代謝量が減って太りやすくなってしまいます。

ですから、ダイエットする時は「遅筋」を使うウォーキングだけではなく、「速筋」を使う筋トレも取り入れることが重要です。

ちなみに、軽い負荷で行う筋トレでは「速筋」を効率よく鍛えることができません。

女性でもしっかり負荷をかけて「速筋」を鍛えましょう。

運動しなくても痩せる?!

近年、筋肉の中に「UCP-3」というタンパク質が発見されました。

このタンパク質は「速筋」の中に多く含まれていることから、「速筋」を鍛えることで増えるのではないかと期待されています。

(マウスの実験では増えることが確認されています)

このタンパク質が増えることのメリットは、熱を作る働きがあるため、運動をしていなくてもをエネルギーを消費するということです。

逆にウォーキングなどの「遅筋」を使う運動を継続すると、このタンパク質が減ってしまうことが報告されています。

つまり、ウォーキングだけを継続していると、脂肪が蓄積されやすい体になってしまう可能性があるということ。

まとめ

ダイエットに筋トレが必要な理由を解説しました。

筋トレ後は脂肪分解ホルモンが分泌されて脂肪が燃えやすい状態になります。

筋トレ以外の運動で分泌される脂肪分解ホルモンの効果は、1時間程度でなくなると言われていますが、筋トレで分泌される脂肪分解ホルモンの効果は約48時間も続くとする報告もあります。

その脂肪分解タイムに、いつも通り生活しているだけでも、脂肪燃焼効率が高まっているので効率よく痩せることができます。

その他にも、基礎代謝量の維持や増加、痩せやすい筋肉に変えてくれるなど、ダイエットに筋トレを取り入れるメリットがいっぱい。

特に40歳を過ぎたあたりから、ダイエットで筋トレを取り入れるメリットはとても大きいです。

まだ筋トレをしていないなら、ぜひ取り入れてみてください。

この記事を書いた人

砂川 幸也(すながわ ゆきや)
砂川 幸也(すながわ ゆきや)パーソナルトレーナー
指導歴19年。
これまで延べ4万人以上を指導した経験をもとに、週1回のトレーニングで結果を出す独自のダイエットプログラムを開発。
詳しいプロフィール